曲木のプロセス

一般的に、木が簡単にどこででも曲げられることはあまり知られておりませんが、イギリスでは18世紀

後期にはウィンザーチェアの背やアームを曲げる方法に取り入れられていました。イギリス式ベンディン

グ(私の個人的呼び方)によっては、高度な設備がなくても、割合簡単に曲げることができます。そこで

、ジャック・ヒル氏の「カントリーチェアメイキング」を参考に2006年7月、九州産業大学デザイン

学科木工房で実験したときのプロセスを紹介しておきます。(これは一度、九州産業大学のウェブにも掲

載したものです。)

蒸気による曲げ加工には首尾一貫した取り組が求められる。それには前もってきちんとした準備が大切で

、曲げのための型(フォーマー)と帯鉄を準備して、相当な圧力がかかるのでそれに耐え得る十分な蒸し

器の設備が求められる。クランプと手袋、木くぎと木槌を準備して、可能であればちょっとしたアシスタ

ントが必要かもしれない。数本の木を一緒に蒸すことができるが、最初に取り出すものに先ず手が届くよ

うにしておくこと。スティーム・ボックス(蒸し器)に帯鉄と一緒に曲げるウィンザーのボウ(弓形)を

入れる前に、その木がその端の止め具の間にきちんと装着できる長さであるか、その両端がきちんと直角

にカットされているかを確かめる。

帯鉄を使用する際は、急いで木をその間に置き、フォーマー(型)に当て、中心の位置を定めてクラ

ンプで固定し、できれば左右同時に型に沿って手前に引く。テーブル(曲げ台)に基盤などを固定さ

せた状態でゆっくりと、しっかりした力で曲げる。一度十分に曲げきった時点で木釘などで固定るか

、あるいは必要であればハタガネで固定する。これらの作業に1から2分以上かけないようにする

曲げの中心の位置に、蒸した後すぐに見分けられるように、印をはっきりと付けておく。むらのある

熱で蒸気を発することになるので、蒸し器の中で、材料がお互いにあるいは箱の側にくっつかないよ

うにする。蒸し器の上で帯鉄を温めておくと良い。ウインザーチェアーの曲げ材は、32×32ミリ

角の棒に対して1時間の蒸気蒸しが必要である。スティームボックスから木を取り出した後、熱を失

うと大変なのですばやい対応が求められる。手首とか腕に蒸気がかかるので必ず手袋をはめ、眼鏡な

どは蒸気でたちまち曇ってしまうので気をつける。

実例:シングル・ボウバック・ウィンザーチェア