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ヴィクトリア&アルバート・ミュージャム
Victoria and Albert Museum
(V&A)

1990年代までV&Aに展示されていた3脚のウィンザーチェア

2001年 V&Aにおける「ゴールドスミス・ウィンザーチェア」の実測調査

ゴールドスミス ウィンザーチェア

A survey of Goldsmith Windsor chair at Victoria & Albert Museum

ゴールドスミス・ウィンザーチェア
Goldsmith Windsor chair
レプリカ c. 1770

このゴールドスミス・コム・バックアームチェアーをよく眺めてみると、その

丸くお皿状のサドル形シートの後部が、背を支える2本のスティックを差し込

むためのいわゆるボブ・テールと呼ばれる部分に広がって延びています。シー

トの丸い形にそって扇型に上に伸びたスティックは笠木に達し、しっかりと後

ろを支える構造になっています。アームは3つの部分にカットされ、それぞれ

湾曲した形に加工さられたあと、相欠き継ぎ(1ap joint)によって組立てられ

ています。その両先端はアームサポートによって支えられています。 ゴール

ドスミスチェアの構造には以下のような特徴があります。木材をフンダンに使

しながらも、合理的に無駄のない材料の取り方には感心させられます。後ろ

脚と前脚は同じ部品からなっており、座へ直接ホゾで打ちこむコロビの角度の

違いでその区別がわかるのです。その違いが座り心地を決定付ける微妙な角度

を形成しています。貫は3本とも同じ部品からなっており、(センターの貫が

少し長め)座板の厚みと笠木の幅が同じなので、同じ部材から木取ることがで

きます。アームとアームサポートの部材は座板の部材を二枚にわいて取ること

ができます。結果、500ミリ幅の部材から木取りが可能であることがわかりまし

た。周知のことですが、ウィンザーチェアには図面がありません。スティワー

ト・リンフォード社にさえ図面はなく、シートの型板があるだけです。図面の

話をしてもあるのがおかしいという表情をされるぐらいです。そこで私なりの

図面を考えついたのが軸側投影によるCAD図面です。それは座面を主軸に平

面、立面、側面を描く方法です。ゴールドスミスチェアも同じ方法で図面を描

いたのですが、シートは正円で、それにボブテールという尻尾の形が取り付け

られた形は、まさかと思うほどの単純な構造からなっていたのです。さらに推

し進めていくうちに、脚の傾きとスティックの傾きがどれも円の中心に向かっ

ているということでした。そうするとアームはもしかして同心円からできるの

ではないかと推測して描いてみると、そのとおり、椅子の形になったのでした

。※参照( cinii- イギリスカントリーファニチャー ) しかし後の現物と

の比較で、多少異なってはいましたが、基本的には同心円から図面を描くこと

ができたのでした。そこで推察できることは、ウィンザーチェアの複雑な構造

、ようするに、シートからアームを抜けて、笠木に達するスティックの角度や

脚のころび角は、職人の経験と勘によるものですが、その初期は同心円の中心

に向けた角度から発して、いろいろと形を変えていくうちに完成されていった

のではないかという推論を立てることができたのです。


※ ころび:脚の角度が四方に末広がりに傾いていること



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