ヴィクトリア&アルバートミュジャムの
’ゴールドスミス'チェア
 2001年

ゴールドスミス ウィンザーチェア

English

「ゴールドスミス」チェア
’Goldsmith’chair
 1760c

2001年 V&Aにおける「ゴールドスミス」 ウィンザーチェア」の実測調査

1990年代までV&Aに展示されていた3脚のウィンザーチェア

このゴールドスミス・コム・バックアームチェアーをよく眺めてみると、

その丸くお皿状のサドル形シートの後部が、背を支える2本のスティック

を差し込むためのいわゆるボブ・テールと呼ばれる部分に広がって延びて

います。シートの丸い形にそって扇型に上に伸びたスティックは笠木に達

し、しっかりと後ろを支える構造になっています。アームは3つの部分に

カットされ、それぞれ湾曲した形に加工されたあと、相欠き継ぎ(1ap

joint
)によって組立てられています。その両先端はアームサポートによ

って支えられています。 ゴールドスミスチェアの構造には以下のような

特徴があります。木材をフンダンに使用しながらも、合理的に無駄のない

材料の取り方には感心させられます。後ろ脚と前脚は同じ部品からなって

おり、座へ直接ホゾで打ちこむコロビの角度の違いでその区別がわかる

です。その違いが座り心地を決定付ける微妙な角度を形成しています。貫

3本とも同じ部品からなっており、(センターの貫が少し長め)座板の

厚みと笠木の幅が同じなので、同じ部材から木取ることができます。アー

ムとアームサポートの部材は座板の部材を二枚にわいて取ることができま

す。結果、500ミリ幅の部材から木取りが可能であることがわかりました

周知のことですが、ウィンザーチェアには図面がありません。スティワ

ート・リンフォード社にさえ図面はなく、シートの型板があるだけです。

図面の話をしてもあるのがおかしいという表情をされるぐらいです。そこ

で私なりの図面を考えついたのが軸側投影によるCAD図面です。それは

座面を主軸に平面、立面、側面を描く方法です。ゴールドスミスチェアも

同じ方法で図面を描いたのですが、シートは正円で、それにボブテールと

いう尻尾の形が取り付けられた形は、まさかと思うほどの単純な構造から

なっていたのです。さらに推し進めていくうちに、脚の傾きとスティック

の傾きがどれも円の中心に向かっているということでした。そうするとア

ームはもしかして同心円からできるのではないかと推測して描いてみると

、そのとおり、椅子の形になったのでした。※参照( cinii- イギリス

カントリーファニチャー
) しかし後の現物との比較で、多少異なっては

いましたが、基本的には同心円から図面を描くことができたのでした。そ

こで推察できることは、ウィンザーチェアの複雑な構造、ようするに、シ

ートからアームを抜けて、笠木に達するスティックの角度や脚のころび角

は、職人の経験と勘によるものですが、その初期は同心円の中心に向けた

角度から発して、いろいろと形を変えていくうちに完成されていったので

はないかという推論を立てることができたのです。


※ ころび:脚の角度が四方に末広がりに傾いていること



同心円による作図順


三面図
上記図面は九州産業大学芸術学部研究報告第31巻 2000年
イギリスカントリファニチャー「ウィンザーチェア」
の形態分析研究W より抜粋

参照

イギリス カントリーファニチャー ウィンザーチェアの形態研究そのW

ブログゴールドスミス・ウィンザーチェアのなぞについて

  

A survey of Goldsmith Windsor chair at Victoria & Albert Museum